はじめに:幸せな日常を壊した、医師の一言

「お子さんを希望されていますが、精子が一人も見当たりません」
医師の口から出たその言葉は、まるでドラマのワンシーンのように現実味がありませんでした。
あまりに衝撃が強すぎると、人は悲しむよりも先に「無」になるのだと知りました。
妊活を始めて8カ月。妻が先に不妊外来に通い、タイミング法を数回試しても結果が出ず、
「念のため僕も見ておこうか」と軽い気持ちで受けた精液検査。
その結果が、まさかの「ゼロ」でした。
この記事では、無精子症という診断、そして遺伝子欠失という衝撃の事実を突きつけられた私が、どのように絶望し、そして「手術(マイクロテセ)」を決意するに至ったのか、その全記録を綴ります。今、同じように検査結果を握りしめて震えている方の、少しでも力になれれば幸いです。
「精子ゼロ」の衝撃。不妊クリニックの帰り道に感じた孤独

地元の不妊クリニックで「無精子症」と告げられた帰り道、
どうやって車を運転したか覚えていません。
「なぜ自分なのか?」「何か悪いことをしたのか?」 そんな答えのない問いが頭の中をループしていました。街ですれ違う親子連れ、テレビに映る赤ちゃんの映像。それらすべてが、自分を否定しているかのように感じられました。
後日、紹介状を手に大学病院へ。
「何かの間違いであってほしい。設備の整った病院なら、数匹は見つかるはずだ」
そんな淡い期待は、大病院での再検査でも無残に打ち砕かれました。
やはり結果はゼロ。そこからは、検査の連続でした。
複数回にわたる精液検査、触診、そしてホルモン値を確認するための血液検査。
診察室で、何度も「精子がいない事実」を医師や看護師に確認される作業は、男性としてのプライドを少しずつ削り取っていくような、筆舌に尽くしがたい苦痛を伴いました。
確定した「非閉塞性無精子症」と「AZFc全欠失」という現実

数週間の検査を経て、医師から告げられた最終的な診断は、
「非閉塞性無精子症」による造精機能障害でした。
精子の通り道が詰まっている「閉塞性」であれば、比較的高い確率で精子を回収できるらしい。
しかし私の場合は、精巣の中で精子を作る機能そのものが著しく低い、あるいは機能していないという絶望的な診断でした。
さらに、追い打ちをかけたのが遺伝子検査の結果です。 「AZFc領域の全欠失」。
私のY染色体の一部が欠けていることが原因で、精子が作られにくい体質であるということが科学的に証明されてしまったのです。
「自分のせいで、妻を母親にさせてあげられないかもしれない」
「なぜ、自分だけがこんな体で生まれてきたのか」
帰宅してからも、スマホで「AZFc 欠失」「非閉塞性無精子症」と検索しまくる日々。
ネット掲示板には「厳しい」「諦めるしかない」といったネガティブな情報が溢れ、
画面が涙で滲んで見えなくなった夜が何度もありました。
妻に対しての申し訳なさで、彼女の顔をまともに見ることすらできなくなっていきました。
医師が告げた「30%~40%の可能性」と、苦渋の選択
絶望の淵にいた私に、医師は一つの選択肢を提示しました。
それが「マイクロテセ(精巣内精子採取術)」です。
精巣を切り開き、顕微鏡で精子を探す手術。 AZFc欠失の場合、精子が見つかる確率は30%~40%前後です。しかし、見つかってもごく少数かもしれません」
コインを投げて、表が出るか裏が出るか。もし見つからなければ、その瞬間に「自分の子供を持つ」という夢が完全に断たれる。手術への恐怖よりも、その「審判」が下されることへの恐怖が勝っていました。
また、仮に精子が見つかったとしても、その後の顕微授精がうまくいく保証はありません。高額な手術費用、仕事の調整、そして何より身体を傷つけることへの抵抗。迷いは尽きず、私は「もう子供は諦めようか」とさえ口にしそうになりました。
なぜ、私は「手術」を受ける決意をしたのか

迷い続けていた私を救ったのは、他でもない妻でした。
彼女は私の診断結果を知っても、私を責めるどころか、「一緒に泣いて、一緒に悩もう」と言ってくれました。 「結果がどうであれ、二人で納得できるまでやりたい。そうすれば後悔しないから」その言葉で、ようやく覚悟が決まりました。私は、半年後の手術日を予約しました。
半年後、精巣を切り開く。そこで人生が決まる。そう思うと足がすくみましたが、
同時に「やれることはすべてやろう」という、
これまでとは違う静かなエネルギーが湧いてくるのを感じました。
この時は、半年という長い待機期間が、まさか「自分を、そして運命を変えるための期間」になるとは想像もしていませんでした。無精子症と診断され、手術しか道がないと思い詰めていた私に、この後、医学の常識を超えるような信じられない出来事が起こります。
おわりに:今、絶望しているあなたへ
今、検査結果を見て、暗闇の中でこの記事を読んでいるあなたへ。
かつての私と同じように、「自分はもう終わりだ」と思っているかもしれません。
でも、診断名はあくまで「今の状態」を指しているに過ぎません。
体質は変えられないかもしれませんが、身体の状態を整えることは可能です。
私が手術までの半年間で、どのような情報を信じ、どのような習慣を取り入れ、そしてどのようにして「手術直前の大逆転」を起こしたのか。
その驚きの詳細は、次の記事「無精子症から逆転!マイクロテセを回避した「72日間の習慣」で、包み隠さずすべて公開します。


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